ゆったり12輪生活。

WR250X、セロー225 1kh、ロードスターNB8C、レガシィBP5の整備、運用記録などをメインに配信します。

WR250Xをがっつりエンデューロ仕様にしてみた

しばらく暖めてしまった感がありますが、WR250Xを性能にこだわってオフロード仕様にしてみました。無い腕は金で補うスタイルです。

、、、と、いうのは半分。楽しさ優先で組んでみました。

じつはWR250Xはもう手元にないのですが、思い出しながらの執筆です。(※私が調べた限りの情報ですので、間違っていたらすみません。)


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WR250X↔WR250Rの違い

WR250Xはご存じの通り、「オフロードのR1」をめざして作られた高性能トレール、WR250Rをベースに舗装路を快適に走れるよう設計変更したモタードバイクです。

よって、かなりの数の部品が共用ですが、主に下記の部品が違うと言われています。

・前後サスペンション

・ホイール

・フロントブレーキ

・エンジンECU

僕のWR250Xは既に吸排気・ECUに手を加えていたので、最初の3つの変更とエンデューロ参戦に必要と思われるものの変更を実施しました。


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上の2枚は同じバイクです。外装変わると印象もガラッと変わります。

 

サスペンション

言わずもがな、走破性、操安性に直結するパーツです。

X用はR用に比べてスプリングが固かったり、ストロークが短くされていたりするようですが、大きく違うのは内部のバルブのセッティングまで手を加えられているということです。このバルブはフロントフォークの中に入っているオイルに流動抵抗を与える部品で、サスペンションの減衰力を設定するパーツです。そして、ここをいじるというのはノウハウが必要であり、専門性の高い作業になります。

当初はスプリングだけ組み替えて安上がりに変更しようと思っていましたが、たまたまヤフオクに出物が。

ケンズパワーでエンデューロR仕様にセッティングされた前後サスペンションASSYです。

www.kenspower.com

幸運にもそれほど高騰することなく落札されたので、深く考えることなくポンづけです。

エンデューロ仕様」の内容は

・ソフト&ロングスプリングに変更

・リバルビング

・低フリクションオイルシール(確か)

ストローク延長

本気すぎる内容です。R純正と比較できない僕にはもったいない...

リアサス変更する際は、リンクのグリスアップをオススメします。僕は毎年やっていますが、せっかく外すので、見てみて下さい。

僕は定番のコレを使ってます。

 

 


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セロー225との比較。太っといですね。

 

 

 

フロントブレーキ

ブレーキの相違点は

・マスターシリンダー

・キャリパー本体

ブレーキローター

・ブレーキホースサポート(フォークガード)

結構ありますね。マスターシリンダーはそのままでもいいという方もいますが、効きすぎるのが怖いのと、もとに戻す時に面倒なので、マスターからキャリパーまでひとまとめで交換しました。これならポンづけ。エア抜き等の作業も発生しません。


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これまたヤフオクで準備したのですが、怖いので一式(ピストンシール、マスターシリンダーキット)をOHしてから組みました。

両方とも専用品ではないようなのですが、R用のキャリパーピストンは黒っぽい硬質コートが施工されており、ダートでの耐久性を考慮しているように感じました。


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面白いのはセローとの比較。セロー2251khも同じようにブレーキ系をオーバーホールしたのですが、ガードは断然セローが豪華。ディスクガードは純正でついてますし、ピストンのシールも蛇腹ゴム+スプリングピンで強固にダストから守ってます。恐らく、セロー225はオフ車でのドラムブレーキ→ディスクブレーキの過渡期だったんですね。だからメーカーはダストに慎重だったのかも。バブル期だったことや、シールやピストンの高性能化もあるかもしれませんね。そんな風に思いを巡らせるのも楽しかったです。


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なお、キャリパーを換えずに流用する場合は、ローター径が違うのでホイール側のローターをキャリアごと変更する必要があります。結構いいお値段ですし、耐久性が未知数なので僕は避けました。

Z-WHEEL | DF_MOTOwww.dirtfreak.co.jp

 

 

ホイール

これはもうASSY交換しかありません。なぜか中古相場が高騰しているので、Y'sGEARから出ているセットを買うのがいいと思います。

 

 

親切にもローター&スプロケ付き!手間が省けます。(スプロケはダンパーが悪さをしてチェーンが外れたりするそうなのでおすすめしませんが)

エンデューロ仕様化にあたり、スプロケは50丁(!!)にしました。当然、チェーンが足りなくなるので用意が必要です。


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フロントを下げるという手もあるようですが、僕はチェーン脱落リスクが怖かったのでリアのみ変更しました。なお、フロントも純正は静音ダンパー付きなのですが、 これもチェーン脱落リスクがあるようなので、競技など、ハードに使う方はサンスターあたりのやつに変更しておくのがいいと思います。

なお、50丁にすると若干チェーンがチェーンガイドに干渉しますが、しばらく使っていると樹脂部分がいい感じで削れます。僕の場合は金属部分への干渉はありませんでした。

僕は“林道制歯”のデザインが好きで愛用してます。(性能はわかりませんw)

 

 

その他

ここからは「あったほうがいい」と思う装備です。転倒前提の競技なのでガード類メインですね。

・樹脂アンダーガード

アンダーガードはエンジンとかドレンボルトを守るのに必須ですが、樹脂だと引っ掛かりが少なくて、更に軽量なのでいいようです。


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・外装一式 

きれいな外装は置いておきたかったので、、、性能的には、フォークガードだけはブレーキホースの取り回しに関わるので交換したほうがいいと思います。

 

 

・前後ディスクガード

これは変形時のダメージを考慮して樹脂製がいいと思います。こんなの、金属であろうとディスクの変形は防げないと思ってます。ガードよりローターの方が強そうですし。主にダストとか泥の侵入を防いで異常磨耗を防ぐ...くらいの気持ちで装着ですね。金属性だとガードが変形したら取り返しのつかないダメージをブレーキ系に与えることがあるそうです。アチェルビスのローターガードはキャリパーも少しカバーしてくれます。因みに、マウンティングキットのガードの両方を用意する必要があります。

 

 

 

・ファンスイッチ 

WR250Xのラジエーターはなぜか片側のみで、すこしスタックすると簡単に温度が上がります。もともと冷却は足りない感じなので、常にオンにして回し続けてます。また、平均速度が高いと邪魔にもなるようですので、用途によって検討するのがいいと思います。薄さ重視でこれを使ってみました。

 

 

ラジエーター液

おまじない程度でポリエチレングリコールに変更しています。比熱の差もありますが、エチレングリコールよりも無害なはずなので、処理が楽かもしれません。

本当にレースのみなら真水を毎回交換が安上がりで放熱性も良いですし、お金をかけるならワコーズなどから専用クーラントがでています。(クルマの競技やってたときは真水かワコーズを使ってました)

 

 

・ZETAクラッチパーチCP

ZETAが誇る高級クラッチホルダーASSYです。耐久性がないとか色々言われるZETA製品ですが、これは素直におすすめです。クラッチが劇的に軽くなるところまではDRCのウルトラライトクラッチと同じですが、取り合いが自然なのでケーブルが痛みません。ワークスライダーも使ってるとか。唯一の欠点は高すぎることでしょうか。2万円弱します。

別にオフロードだけに有効な訳ではないので元から付けてましたが、特にエンデューロクラッチ使うシチュエーションが多いので有効かと思います。

 

・転倒・クラッチニュートラルセンサー無効化

上記のパーチCPを使用するとクラッチセンサーが装着できなくなります。このままだと、ギアの入った状態ではセルが効かなくなります。そこで、すべてセンサーを殺します。これにより、リカバリーが容易になります。(これの不便さに気づかず、勝沼で○ぬ一因になりました)

 

・キックスタンド変更

サスペンション交換&ホイール交換にともない、車高が上がりますのでX用のスタンドでは不安定になります。車高にあった長さに変更しましょう。確か純正で3000円程度。

 

・ハンドガード

もともと装着していましたが、クローズタイプが防御力の点でオススメです。僕は転倒時に角度が変わらないようにクランプマウントにしました。


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ハンドルに挟み込むタイプが取り付けは楽なのですが、転倒の衝撃で角度が変わった際に最悪、ブレーキ配管にダメージを与えることがあります。ブレーキ系は致命傷になり得るので、なるべくリスクは避けたいですね。セローとEXCにはこのタイプ付けてますが、なるべく強固に固定できるボルト2本固定タイプにしています。

 

 

 

 

・フォークボトムガード

ヤマハ車用のフロントフォークの底を守る治具です。イモネジをホームセンターで売っているクロモリに変えて耐久性を上げています。

 

だいたい、これだけです。

 

比較

 

Before

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After
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・足付き
まず、めちゃくちゃ車高が上がり、片足すらつかなくなりました。

もともとXの時は両足のつま先がついていたのが、R仕様にしてからは半ケツずらしてやっと片足につくぐらいです。

こんなのでエンデューロは腕のない僕には辛すぎるので、サス調整で足付きを改善しました。

・リアサス:サスペンションユニットの下部にある全高調整ネジを使いました。スプリングのプリロードはサグ出しに使いました。

・フロントサス:突き出し量を、15mmにしました。これはハンドルに干渉する一歩手前でした。性能は一切考慮していません。とにかく足付き重視です。

これで、170cm体重63kgの僕はギリギリ両足がつくようになりました。

 

・乗り味

どんなサスがエンデューロに向くのか?などはわかりませんが、標準の減衰では堅すぎる気がしました。きっと、結構ジャンプ飛ぶような方はいいのかも。僕は怖いので前後とも柔らかい方から2~4番目ちょうどいい感じでした。この設定で、1速から2輪共浮くような小ジャンプで充分いなせるくらい。

2速からの滞空時間が長めのジャンプや、ミスってフロントから落ちるようなシチュエーションではフロントが「カシャン」と底づきします。

通常走行時のギャップの走破性はセローとは段違い。楽に走れるし疲れません。初めていつもの河川敷に持ち込んだ時に感動しました。爺ヶ岳の石やウッズも随分楽に行けました。セルもすぐ掛かるので、転けないシチュエーションでのリカバリー性は最高です。

エンジンも「低速がない」とか「谷が酷い」とか言われてますが、燃調の設定次第で程良く粘るし、上も結構パワフルです。(CO設定もありますが、吸排気両方いじった場合はサブコンでの補正が必須かと思います)

 

・ネック

やはり、重いです。このバイクのオフロードでのネックはここに尽きると思います。132kg。セロー225比で30kg、125EXC比で35kg程度重いです。

132kgは現代のトレールバイクとしてはそこまで重い感じではないと思うのですが、何回も転けたり、楽なリカバリー方法がわからない初心者には結構辛いです。

実際、9月の勝沼ではリカバリーのしすぎで力尽きてDNFとなっています。これは鍛えたり効率のよいリカバリーを覚えることで十分補えると思います。実際、WEXでも90C、90D、120Cあたりだと結構出てますし、良い成績も残されている方がいます。

何より、デビュー時には高名な鈴木健二さんがISDEで結果を残されてますし。

 

かかった費用

おおよそです。

サス:前後約120000円(中古)

ホイール:前後約50000円

ブレーキ :約20000円(中古)

アンダーガード:約7000円(中古)

ブレーキガード:約11000円(マウント込み)

キックスタンド :約3000円

スイッチ:約3500円

外装:約5000円(かなりやれた中古)

合計 約219500円

結構お高いので、気軽にはできない感じもありますね、、、

 

雑感

僕としては非常に有効なセッティングでしたし、WEX参戦が楽しくなりました!

結果的には、より爽快感の強い125EXCに乗り換えてしまいましたが、メンテサイクルを気にせずある程度乗りっぱなしに出来て、街乗りから高速道路までラクにこなせるポジションのバイクはなかなか無いと思います。

ツーリングもレースも、オンロードも一台で楽しみたい!という方には国産の部品の安さも手伝って最高の一台になるのではないでしょうか?もし、オフ、オンどちらかしか走ったことの無い方は、お財布が許せばぜひ試されることをおすすめします!